成田用水の「多面的機能」を紹介

 

農業は食べ物を生産する以外にも、田んぼ、畑、農村には私たちの生活に欠かせないいろいろな働きをする機能があります。

 

１.自然災害の緩和、防止機能（国土保全機能）

　洪水防止機能・地盤沈下防止機能・地下水涵養機能

田んぼには水を溜めて稲を作ります。これは大雨のとき周辺地域の洪水を緩和します。また、水がゆっくりと浸透して地下水が涵養され、地盤沈下を防ぐなどの働きがあります。

 

 

2.自然環境保全機能

　水田浄化機能・河川流況安定機能・地球温暖化防止機能

稲の働きによって田んぼの水がきれいになります。そして、この水が川に流れ込み、川の水がきれいになるとともに、河川の生態系を維持します。また田んぼに溜められた水の蒸発によって周辺の気温を調整し、地球温暖化防止にも役に立ちます。

3.景観形成機能

　四季に応じ、さまざまな風景を描く美しい田園風景は、人々に潤いと安らぎを与えてくれます。この魅力ある風景は、

長い年月をかけ、ゆっくりと人々が農業を通じ、自然と対話しながら形成してきたものです。この風景は、農業の営みによってのみ

得られる貴重な大地からの贈り物です。

 

 

4.生活環境向上機能

　地域用水機能・防火用水機能・癒し空間創出機能　

田んぼや畑に必要な水を運ぶ用水路（パイプライン）及び畑地かんがいの貯水池は、周辺地域の防火用水としての役割を担うことが出来ます。また、田んぼや畑の緑豊かな空間とゆったりとした農村風景は、私たちの生活にゆとりと安らぎを与えてくれます。

 

 

5.生態系保全機能

　農業用の用水路、排水路などを整備する場合には、周辺の景観や、環境に配慮したものにしています。これによって、田んぼや排水路などに生物たちの生息地を確保しています。また、用水を流すことによって生態系保全の機能も担っています。

 

 

6.農村と都市との交流機能

　農村は都市都民に憩いの場を提供しています。

一面に広がった田んぼ、水が流れる排水路、そしてそこに息づく様々な生き物や農村文化などは、都市では見ることのできないものです。そして、このような景観、自然などの潤いや安らぎを求め、都市部から多くの人々が農村を訪れ、農業を体験したり、自然や農村文化と触れ合う機会が増えています。

このように、農業・農村の持つ環境を媒体として、都市と農村との交流が始まっています。この農業・農村の持つ機能を「多面的機能」と呼んでいます。

多面的機能を維持、発揮するために、農地、農業用施設を水土里ネット成田用水（農家の人たち）が維持管理しています。また、人、物、情報のつながりにより、農家に限らず、地域住民や都市住民と連携して、都市と農村の共生、対流を促進しています。